はじめに
こんにちは、整形外科医のハマ太郎です。 若手医師にとって、定期的に回ってくる「抄読会」の準備は誰もが一度は経験する、山場の一つです。一部の優秀な先生を除き、多くの先生は担当の日が近づくにつれ憂鬱な気持ちになっていくと思います。 「論文を探して、読み込んで、スライドを作って、質問攻めに備える……」 かつては徹夜が当たり前だったこの作業も、2026年現在はAIを使いこなすことで、わずか1時間程度で「教授を唸らせる」レベルまで持っていくことが可能です。
1歳の息子との時間や、趣味のゴルフ、日々の業務、そして諸先輩方からの評価。どれも欲しがる欲張りな私が実践している、AI抄読会ハック(時短)を全公開します。
Step 1:SciSpaceで「勝てる」論文を一瞬で見つける
まずはネタ探しです。私はSciSpaceを活用しています。
SciSpaceは2.8億件以上の論文から日本語の質問だけで最適なエビデンスを探し出し、その結論を一瞬で要約してくれる研究特化型AIです。
- 探し方: キーワードを入力し、インパクトファクター(IF)の高い順、あるいは引用数の多い順にソートします。
- PDFの確保: 施設IDなどでPubMedからPDFをダウンロードし、準備完了です。
Step 2:NotebookLMに「全文読解」を丸投げする
PDFを手に入れたら、GoogleのNotebookLMに放り込みます。
私は以下の順序でAIに指示を出しています。
- 全文和訳: AbstractからConclusionまで順に翻訳。
- 図表の解説: 「各Table とFigure が示す内容を、若手整形外科医に分かりやすく要約して」と指示。
これだけで、論文の骨子は概ね理解できます。
Step 3:【最重要】「教授AI」に厳しい質問を投げさせる
抄読会の最大の関門は、発表後の「質疑応答」ではないでしょうか。 ここで私が実際に使っている、「質疑応答用の神プロンプト」を公開します。
GeminiやNotebookLMに対し、こう命令してみてください。
プロンプト: 「あなたは優秀な整形外科教授であり、優秀な教育者です。この論文について想定される10個の厳しい質問とその回答を用意してください。」
このプロンプトが最強な理由
ただの批判ではなく「教育者」という役割を与えることで、「この研究の限界(Limitation)はどこか?」「臨床現場にどう応用できるか?」といった、本質を突く質問が出てきます。
事前にこの10問とその回答に目を通しておくだけで、当日の緊張感は劇的に減り、自信に変わります。むしろ想定外の質問は本質からそれている可能性の方が高いです。不安な方は10個の部分を15などに増やしても大丈夫です。ただ、あまり増やしすぎると正確性は落ちる印象です。
Step 4:スライド作成のアシスト
最後に、NotebookLMにスライドの構成案(アウトライン)を作らせます。 「この内容を、10枚のスライドで発表するための構成案を出して」と言えば、見出しと各スライドのポイントが数秒で出力されます。
あとはそれをもとにPowerPointを作成します。文字通り「爆速」です。
まとめ:時間は「クリエイティブ」な仕事に使おう
翻訳や要約といった「作業」はAIに任せ、論文の本質や問題点、実臨床にどれくらい役に立つのか、といった建設的な疑問に時間を作れるようになるはずです。そしてそれこそが抄読会の本質だと思っています。
もちろん、基礎的な統計学や論文構成については一度しっかり勉強しておくことも大事ですので、自分が勉強した書籍についてリンクを載せておきます。文字を詰めすぎず、語り口調で数式や難しい言葉を一切排除した本です。大学で統計学ばなかった自分はコンプレックスを抱いていましたが、この本を勉強すると医学論文の統計の部分が少し優しく感じることが出来ました。本当に読みやすいです。
また、AIを使うようなきっかけになった書籍についてもリンクを貼っておきます。AIに関する口演を精力的にされている大塚先生の書籍で、対話形式で進み、こちらもとても読みやすいです。
長くなりましたが、ぜひ次回の抄読会で試してみてください。きっと徹夜から解放され、驚くほど心に余裕が生まれるはずです!

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