こんにちは。整形外科医のハマ太郎です!
「GPT-6 Astraという新しいAIが出たらしい」。SNSではAIマニアたちが大騒ぎしています。実際凄い進化が起きています。でも外来、病棟、当直に追われる多忙な医師の先生方の中には、「また新しい名前?」「結局、自分の仕事で何に使えるの?」と思う先生もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、難しい性能の数字を並べる代わりに、実践に即して抄読会の準備を実際に頼んでみました。文献探し、要約、発表スライド、想定問答集。まとめてお願いすると、どこまで進めてくれるのか。
結果は、スライド・発表原稿・想定問答集の初稿ができました。ただ、スライドの見た目には追加の注文が必要でした。その過程から、忙しい医師に関係する使い方を紹介します。
GPT-6 Astraとは?まずは「何を頼めるか」を知ろう
GPT-6 Astraは、OpenAIの新しいAIモデルです。モデルとは、AIの「頭脳の種類」くらいに考えてください。
OpenAIは、複雑な問題を考えることに加え、ブラウザーやソフトを使って、複数の手順がある仕事を進める能力を特徴として説明しています。OpenAI公式説明
ここで知っておきたいのが、「エージェント型AI」という使い方です。質問に文章で答えるだけでなく、「こういうものを作って」と頼むと、必要な手順を進め、ファイルなどの形にしてくれる。そう考えるとイメージしやすいと思います。
例えば、今までは「まず論文を探して」と命令をしそれが終わったら「要約、下書きまで作って」と命令、最後に「想定問答を作って」と4段階踏んで命令を出していました。
それがAstraは「抄読会するから論文探して要約、パワポ作って想定問答準備しといて」だけでOKです。もしかすると「抄読会するから必要な準備して」という命令文でも状況を理解して行動してくれます。
つまり、雑な命令文でも行間を読んで必要な工程を自分で考えて行動できる、ということです。
抄読会の準備を、普段の言葉で頼んでみた
最初に入力した依頼は、こちらです。
あなたは優秀な整形外科医です。来週整形外科の外傷グループで抄読会があります。若手整形外科医が担当するので、文献探して、要約して、8分くらいで発表できるスライドを作って。想定問答集も作って。

細かい操作手順は書いていません。伝えたのは、誰に向けて、何分で、何を作りたいか。今回は整形外科ですが、「内科の勉強会」「研修医向けのレクチャー」などに置き換えると、ご自身の仕事にも当てはめやすいと思います。
4分57秒の表示で、3つの初稿が出てきた
AIが題材として選んだのは、足関節骨折の術後に荷重を始める時期を扱った「WAX試験」でした。今回の記事では、研究の治療上の結論ではなく、資料作成の流れを紹介します。
① PowerPoint:本編10枚+補足3枚。発表者ノートに原稿付き
② 論文要約と8分の発表原稿
③ 想定問答集:16問

画面には「4m 57s間作業しました」と表示されています。これは初稿が出るまでの表示です。内容の確認や、その後の修正時間は含みません。
PowerPointを開くと、スライドだけでなく、下のノート欄に話す内容まで入っていました。「何を話すか考える」「スライドにする」「原稿を書く」という作業が、ひとまとまりの初稿になっています。

想定問答集には、「なぜこの論文を選んだのか」「解析方法の違いをどう説明するか」といった質問と回答案も用意されていました。答えの正確性は原文で確認する必要がありますが、発表前に何を調べ直すかを考える材料になります。
最初のスライドは文字が多い。そこで追加注文
初稿を見て、構成や原稿は気に入りました。一方、スライドは文字が多く、そのままでは見づらいと感じました。そこで、追加でこうお願いしました。
スライド構成や原稿は気に入った。一方でレイアウトとしては、文字が多くて見づらい。文字は少なくして。フォントは28以上で。PDF中のTableやFigureを切り貼りするなどして、視覚に訴えるスライドにしてほしい。

さらに、各図表について自分でも説明できるようにしたい、と伝えました。修正版では、論文の図表を使ったスライドが作られ、発表者ノートにも説明が追加されました。
このやり取りが、今回の使い方をよく表しています。出てきたものを見て、「ここはいい」「ここを変えて」と具体的に注文する。初稿があると、次に何を直したいかも伝えやすくなります。
実際の抄読会にそのまま使えるクオリティまで正直いかない部分もありますので、そこから装飾していくのは自分の力が必要になります。一回作ったことのあるスライド資料を読み込ませて自分のスライドのレイアウトを学習させてもいいと思います。
他にも簡単な命令文で高クオリティのアプリを作成したりゲーム作成したり、と様々な活用法がSNSなどで報告されています。自分は論文の管理アプリを作ってもらいました。
医師が確認する仕事は残る
ファイルができたことと、発表できる状態になったことは別です。引用や数字は原文と一致しているか。結論を言い過ぎていないか。想定問答の回答を、自分でも説明できるか。ここは発表する医師が確認する必要があります。
最初のお試しには、患者情報や未公開データを使わず、公開資料を選びましょう。診断や治療判断を任せるという意味ではありません。論文の図表をブログなどにも掲載する場合は、掲載条件を確認してください。
忙しい医師は、まず何をすればいい?
今回の作業だけで「以前のAIより優れている」「すべての医師が乗り換えるべき」とまでは言えません。他のモデルと同じ条件で比較したわけではないからです。
ただ、AIを質問や文章の手直しにしか使っていない先生には、資料作りを一連の仕事として頼む使い方を、一度試してみてほしいと思います。
すでに今のAIで用が足りていれば、慌てて課金を増やす必要はありません。まずは、利用できる環境を確認し、公開論文1本など、自分で内容を確かめられる小さな仕事から試す方法もあります。
来週の抄読会を前に、白紙のPowerPointを開いている先生へ。まずはAIに、「誰に向けて、何分で、何を作りたいか」を伝えてみてください。出てきた初稿を見ながら直していく。その経験が、自分の仕事で役立つかを判断する材料になるはずです。
関連記事:ChatGPT・Claude・Gemini、医師が課金するならどれ?(2026年7月時点の比較記事です)

コメント