PR

カンファでのプレゼンがうまくいかない人の特徴3選

整形外科のカンファで骨の画像を示しながら症例を発表する若手医師と、話を聞く同僚のイラスト プレゼン

「で、何を相談したいの?」

カンファで上級医にこう言われて、頭が真っ白になったことはありませんか。

カルテは丁寧に書いた。画像も確認した。ADLも調べた。なのに、発表すると話がうまく伝わらない。そんなとき、足りないのは知識ではなく、情報の並べ方かもしれません。

今回は、若手整形外科医が症例プレゼンで陥りやすい特徴を3つ紹介します。症例のまとめ方、画像の説明、相談の仕方を、約5分で読める内容にまとめました。次のカンファから試せる、小さな改善策もセットでどうぞ。

カルテを「最初から全部」読み上げてしまう

現病歴、既往歴、内服歴、生活歴、検査結果……。

調べた情報を漏れなく伝えようとする姿勢は大切です。でも、情報を全部並べても、聞き手に要点が伝わるとは限りません。

たとえば、こんな出だし。以下は説明のための架空の症例です。

「78歳の女性です。既往に高血圧があり、内服は〇〇で、昨日の午後、自宅の廊下を歩いていたところ……」

聞き手は、話を聞きながら「何の症例だろう」「どこに注目すればいいんだろう」と考えています。一生懸命さは伝わってきますが、コレが許されるのは4月の1回目のカンファだけです。

そこで、最初に一言。

「症例は78歳女性、転位型の右大腿骨頚部骨折に対して人工骨頭置換術予定です。昨日廊下で転倒し受傷、受傷前ADLは独歩で既往には高血圧があります。…」

これだけで、聞き手は話の目的をつかめます。大筋を述べた後に受傷機転や受傷前の歩行能力、全身状態などを説明すれば、それぞれの情報が何のために出てきたのか理解しやすくなります。

大切なのは、情報をむやみに減らすことではありません。まず全体像を示してから、必要な情報を足すことです。

発表前に、次の2つを一文で言えるか確認してみてください。

  • どんな症例なのか
  • 今日、何を検討してほしいのか

ここが決まると、出だしで迷いにくくなります。

画像を「見せれば伝わる」と思っている

画像を表示して、「単純X線がこちらです」。続いて、「CTがこちらです」。そのまま画面を切り替えていませんか。

整形外科のカンファでは画像が大きな役割を持ちます。でも、聞き手が発表者と同じ場所を見て、同じ所見に注目しているとは限りません。一枚のレントゲンでもベテランと初学者では解像度が違って見えるのです。

股関節X線の見え方を比較した模式図。初学者は右大腿骨だけが鮮明で周囲はモザイク、ベテランは骨盤と両大腿骨全体が鮮明に見える。
同じ画像でも、見えている情報は違う。※理解・注目範囲の違いを表したAI生成の模式図です。

画像を出したら、「どこを見て、何を伝えたいのか」まで言葉にするのがポイントです。

「橈骨の尺側遠位骨片が転位しています」
「L5の神経根の横走化はこちらです」

こんなふうに、注目してほしい場所を示しながら説明します。さらに、「見えていること」と「自分の解釈」を分けると、議論が整理されます。

「私はこのように見えたので、〇〇と考えています。ただ、この部分の評価には迷っています」

迷いを隠す必要はありません。むしろ、どこまで確認できていて、どこから判断に自信がないのかを表現できる医師は高く評価されます。そして上級医も助言しやすくなるものです。

準備するときは、画像を開くだけで終わらず、実際に表示する順番で一度説明してみるのがおすすめです。

必要な画像がすぐ出ない。左右を言い間違う。説明したい部位が画面に収まっていない。こうした小さなつまずきは、たった1回の事前のリハーサルで気づけます。

最後が「どうしたらいいでしょうか?」で終わる

一通り説明したあとに、「治療はどうしたらいいでしょうか」と締めくくる。

相談すること自体は、もちろん大切です。ただ、問いが広すぎると、聞き手には「何を考えていて、どこで困っているのか」が伝わりません。

外科医は決断を常に迫られる重圧の中で手術の腕を磨いていきます。自信がなくても、まずは自分の考えを置いてみましょう。

「私はA案を考えています。理由は〇〇です。ただ、△△が気になっており、B案との選択について相談したいです」

この形なら、議論の出発点が明確になります。ここで必要なのは、正解を言い当てることではありません。自分がどんな情報を根拠に考えたのかを示すことです。

まだ案を立てられない場合も、無理に結論を作る必要はありません。

「AとBを選び分けるうえで、何を重視すべきか整理できていません」

ここまで言えれば、十分に具体的な相談です。「分かりません」で止まらず、「何が分からないのか」を一段だけ掘り下げる。それだけで、返ってくる助言も受け取りやすくなります。

次のカンファで使える、症例プレゼンの4行テンプレート

スライドを整える前に、まず次の4行をメモしてみてください。

  1. 症例の要約:どんな患者さんで、何が問題か
  2. 判断に必要な情報:診察所見・画像・生活背景などの要点
  3. 自分の考え:どう考えたか、その理由は何か
  4. 相談したいこと:どの判断について意見がほしいか

そのまま埋めて使うなら、こちらをどうぞ。

〇歳の方で、〇〇の症例です。
判断に関わる主な情報は、〇〇と△△です。
私は〇〇を理由に、A案を考えています。
本日は、△△について相談します。

もちろん、必要な報告項目や発表形式は施設によって異なります。そのうえで、この4行を自分の中に持っておくと、話の軸がぶれにくくなります。

カンファで目指したいのは、よどみなく話し切ることよりも、患者さんについて必要な議論ができること。

次の発表では、まず冒頭に「今日は〇〇について相談します」を足してみてください。その一言が、聞き手にも自分にも、話の進む方向を示してくれます。

プレゼンの伝え方をさらに考えたい方は、【恩師の教え】あなたのスライド、誰に届けてる?プレゼンを劇的に変える「3つの属性」もあわせてどうぞ。

この記事を書いた人
ハマ太郎

整形外科専門医 × AI活用ハッカー。
忙しい整形外科医の日常をAIとライフハックでもっとラクに、もっと面白くするブログを書いています。
温泉、サウナー(ととのう瞬間が至福)/ 野球好き(やるのが100倍好き。ただし大谷翔平は別物)/ 効率化オタク。
温泉が明日の活力。

ハマ太郎をフォローする
プレゼン
ハマ太郎をフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました