はじめに
こんにちは!今回は、2026年(令和8年)第38回整形外科専門医試験の問51〜60の10問を解説していきます。
今回は手・脊椎が中心です。すきま時間にも取り組みやすいよう、10問ずつ確認していきましょう。
まずはテーマを見て答えを考え、「解答はこちらをクリック」を開いて答え合わせをしましょう。正答だけでなく、a〜eの選択肢をどう考えるかまで整理しています。
問題文・画像はお手元の問題冊子と併せてご確認ください。正答は2026年1月16日実施の正答一覧に照合しています。制度・保険の設問は試験時点の扱いです。
※試験対策を目的とした学習用の解説です。実際の診療や算定では、最新のガイドライン・添付文書・通知をご確認ください。
問51〜60:手・脊椎
問51:手指の診察と内在筋拘縮
テーマ:MP関節の位置を変えるとPIP関節の曲がり方がどう変わるか。診察手技を実際の動作で覚えましょう。
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正答:e(誤っているもの・該当しないものを選択)
- a(正):内在筋マイナス位はMP過伸展、PIP・DIP屈曲という鷲手の肢位です。
- b(正):神経障害に伴う発汗低下で皮膚が乾燥します。感覚検査と併せた観察が役立ちます。
- c(正):40歳台の指腹で4 mm以内の二点識別覚は正常範囲とする選択肢です。測定法や年齢の影響も受けます。
- d(正):他指を伸展位に保ち、対象指のPIP屈曲を確認して浅指屈筋(FDS)機能をみます。
- e(誤):内在筋拘縮ではMP伸展位でPIP屈曲が制限され、MPを屈曲すると改善します。Bunnell-Littlerテストの考え方です。
問52:手指・手関節の変形性関節症
テーマ:DIPはHeberden、PIPはBouchard。手関節では原因となる外傷や不安定性に目を向けます。
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正答:a(誤っているもの・該当しないものを選択)
- a(誤):手関節OAは外傷後、舟状骨偽関節、舟状月状骨間不安定性などに続発するものが多く、一次性が多数ではありません。
- b(正):母指CM関節症の初期には、装具による安静・負担軽減が選択肢になります。
- c(正):DIP関節病変では乾癬性関節炎なども鑑別します。皮膚・爪の所見も確認しましょう。
- d(正):進行したPIP関節症では、指や活動性に応じて人工関節置換術の適応があります。
- e(正):粘液嚢腫はDIP関節と関連し、手術では交通部の関節包や骨棘の処置が有用です。
問53:頚髄症の身体所見
テーマ:問題画像は頚椎後縦靱帯骨化に伴う頚髄圧迫を考える所見です。巧緻運動、歩行、腱反射を組み合わせます。
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正答:e(誤っているもの・該当しないものを選択)
- a(正):深部感覚障害があればRomberg徴候を認めることがあります。
- b(正):骨化・変性により頚椎可動域が制限され得ます。
- c(正):finger escape signは頚髄症でみられるmyelopathy handの所見です。
- d(正):脊髄圧迫により下肢の腱反射が亢進します。
- e(誤):Trendelenburg歩行は主に股関節外転筋機能不全で考える歩行です。頚髄症の典型所見として選びません。
問54:環軸椎不安定性と横靱帯
テーマ:上肢反射が広く亢進する症例。屈曲位での環椎と歯突起の位置関係が読影のポイントです。
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正答:a
- a(正):横靱帯は歯突起を環椎前弓側に保持する重要な支持組織です。その機能不全が環軸椎の前方不安定性に関与します。
- b(誤):前縦靱帯は椎体前面を走りますが、本問の環軸椎不安定性の主役ではありません。
- c(誤):後縦靱帯の骨化による頚髄圧迫とは別の病態です。
- d(誤):棘上靱帯は棘突起を連結する後方支持組織です。
- e(誤):黄色靱帯は椎弓間の靱帯です。歯突起を直接保持する横靱帯と区別します。
問55:思春期特発性側弯症
テーマ:側弯角だけでなく、回旋変形と骨成熟を確認します。凸側と凹側の取り違えに注意しましょう。
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正答:a(誤っているもの・該当しないものを選択)
- a(誤):前屈時の肋骨隆起は、椎体回旋に伴って胸椎カーブの凸側に現れます。凹側ではありません。
- b(正):胸腰椎・腰椎のカーブでは左凸が多いとされます。
- c(正):高度に進行した胸郭変形では拘束性換気障害を生じ得ます。
- d(正):Risser分類は腸骨稜骨端核を0〜5の6段階で評価します。
- e(正):Cobb角は頭側終椎の上終板と尾側終椎の下終板のなす角で評価します。
問56:胸椎黄色靱帯骨化症
テーマ:後方からの脊髄圧迫を起こす疾患です。好発高位と、ほかの靱帯骨化の合併を確認します。
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正答:a(誤っているもの・該当しないものを選択)
- a(誤):好発は下位胸椎〜胸腰椎移行部です。中位胸椎を第一に挙げる選択肢は誤りです。
- b(正):画像上の骨化の頻度は加齢とともに上昇します。
- c(正):後縦靱帯骨化症を合併することがあり、責任高位以外も評価します。
- d(正):黄色靱帯骨化症は指定難病68です。診断と医療費助成の要件は別に確認します。
- e(正):骨化の発生・増大には脊椎への力学的負荷が関与すると考えられています。
問57:L5神経根障害
テーマ:感覚領域、筋力、反射を1セットで整理。SLRは神経根刺激所見であり、高位に特異的な検査ではありません。
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正答:c、d、e
- a(誤):膝蓋腱反射は主にL4をみる反射です。L5障害の代表所見ではありません。
- b(誤):アキレス腱反射は主にS1をみます。
- c(正):下腿外側から足背の感覚障害はL5障害で考えます。個人差や隣接根との重なりがあります。
- d(正):長母趾伸筋の筋力低下はL5障害の重要な手掛かりです。
- e(正):腰椎椎間板ヘルニアではSLRが陽性となり得ます。ただし陰性でも障害を否定はできません。
問58:腰部脊柱管狭窄症の姿勢依存性
テーマ:「前かがみなら歩きやすい」という病歴が手掛かり。血管性の間欠性跛行と対比します。
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正答:b
- a(誤):腰部病変ではアキレス腱反射は正常または低下します。亢進なら上位の脊髄病変も考えます。
- b(正):前屈で脊柱管が広がり、神経性の下肢症状が軽くなることが特徴です。
- c(誤):自転車は前屈姿勢をとるため、歩行に比べ症状が出にくいことがあります。
- d(誤):SLR陽性はヘルニアでより典型的で、狭窄症の代表所見ではありません。
- e(誤):ABI低下は末梢動脈疾患を示唆します。脊柱管狭窄症との合併にも注意します。
問59:腹臥位手術と体位による神経障害
テーマ:頭部、上肢、骨盤支持部のどこが圧迫・牽引されるかを考える問題です。
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正答:d(誤っているもの・該当しないものを選択)
- a(正):眼球への圧迫や灌流障害に関連した視機能障害に注意します。頭部・眼部の除圧は重要です。
- b(正):肘部での尺骨神経圧迫を避ける必要があります。
- c(正):上肢の過外転や頭頚部の位置により腕神経叢が牽引され得ます。
- d(誤):脛骨神経は、提示された腹臥位で典型的に問題となる神経としては選びません。ただし、どの体位でも局所圧迫を無視してよいという意味ではありません。
- e(正):骨盤支持部付近で外側大腿皮神経が圧迫され、術後の大腿外側のしびれにつながり得ます。
問60:脊髄髄膜腫と神経鞘腫
テーマ:画像・好発部位・病理を横断して区別します。似た腫瘍の特徴を混ぜないことが大切です。
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正答:a、e(誤っているもの・該当しないものを選択)
- a(誤):target signは末梢神経鞘腫瘍などで知られる所見で、髄膜腫の代表所見ではありません。
- b(正):硬膜付着部に連続するdural tail signは髄膜腫を示唆します。
- c(正):脊髄髄膜腫は胸椎高位に多くみられます。
- d(正):石灰化や砂粒体を伴うことがあります。
- e(誤):核の柵状配列は神経鞘腫のAntoni A領域などでみられる所見です。髄膜腫の渦巻き状配列と区別します。
まとめ
手の診察手技は関節を動かす順序まで、脊椎疾患は画像・筋力・感覚・反射をセットで確認しましょう。似た疾患の特徴を一言で区別できるかが復習のポイントです。
正解できた問題も、選ばなかった選択肢の理由を一言で説明できるか確認すると、知識の抜けが見つかります。
とはいっても、一度間違えた問題は次解き直しても間違うことは多いです。気負わず、すきま時間に10問ずつ、繰り返し使っていただければうれしいです。
出典・確認資料
正答の出典:日本整形外科学会「第38回整形外科専門医試験筆答試験問題・正答一覧」(2026年1月16日実施、日本整形外科学会会告2026年4月No.9)。解説は問題冊子の各選択肢に対応した学習用の補足です。


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