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【解説あり】2026年(令和8年)整形外科専門医試験 過去問解説(問81〜90)

2026年整形外科専門医試験 過去問解説 問81〜90:下肢外傷・末梢神経・スポーツ 専門医試験

はじめに

こんにちは!今回は、2026年(令和8年)第38回整形外科専門医試験の問81〜90の10問を解説していきます。

今回は下肢外傷・末梢神経・スポーツが中心です。すきま時間にも取り組みやすいよう、10問ずつ確認していきましょう。

まずはテーマを見て答えを考え、「解答はこちらをクリック」を開いて答え合わせをしましょう。正答だけでなく、a〜eの選択肢をどう考えるかまで整理しています。

問題文・画像はお手元の問題冊子と併せてご確認ください。正答は2026年1月16日実施の正答一覧に照合しています。制度・保険の設問は試験時点の扱いです。

※試験対策を目的とした学習用の解説です。実際の診療や算定では、最新のガイドライン・添付文書・通知をご確認ください。

問81〜90:下肢外傷・末梢神経・スポーツ

問81:寛骨臼骨折

テーマ:関節面の骨折型をCTで評価する

解答はこちらをクリック

正答:b、d

  • a(誤):画像で問われているのは寛骨臼骨折です。骨盤輪骨折とは分類・整復の考え方が異なります。
  • b(正):受傷や手術後の異所性骨化に注意します。関節可動域制限の原因になります。
  • c(誤):股・膝関節90度屈曲位で牽引する操作は、後方脱臼の整復と混同しないようにします。寛骨臼骨折へ一律に行う操作ではありません。
  • d(正):CTで関節面の陥没、骨片、柱・壁の損傷を把握し、治療計画を立てます。
  • e(誤):Young-Burgess分類は骨盤輪損傷の分類です。寛骨臼骨折ではJudet-Letournel分類などを用います。

問82:非定型大腿骨骨折

テーマ:薬剤歴と対側大腿骨を忘れない

解答はこちらをクリック

正答:c、e

  • a(誤):全身感染症の既往は、非定型大腿骨骨折の評価で特に優先する項目ではありません。
  • b(誤):高血圧治療薬よりも、骨吸収抑制薬など骨粗鬆症治療の内容・期間を確認します。
  • c(正):ビスホスホネートやデノスマブなどの使用歴を確認します。ただし、使用歴がなくても発生し得ます。
  • d(誤):同側下腿ではなく、大腿骨全長と対側大腿骨の評価が重要です。
  • e(正):両側性に発生することがあるため、対側にも不全骨折や外側皮質の変化がないか調べます。

問83:高度腫脹を伴う膝周囲外傷

テーマ:血流・コンパートメント・一時固定

解答はこちらをクリック

正答:a、b、d

  • a(正):膝周囲の高エネルギー外傷では血管損傷を見逃さないように末梢動脈を確認します。触知できても損傷を完全には否定できません。
  • b(正):高度腫脹ではコンパートメント症候群を疑い、診察所見に応じて内圧測定を行います。診断が明らかな場合に減張切開を遅らせるための検査ではありません。
  • c(誤):強い軟部組織損傷がある段階での即時内固定は、創合併症の危険を高めます。
  • d(正):一時創外固定で長さ・アライメントを保ち、全身状態と軟部組織の回復を待つ段階的治療が適切です。
  • e(誤):高度腫脹を伴う不安定外傷に全周性ギプス固定を行うと圧迫や観察の妨げになります。本例の初期対応には適しません。

問84:脛骨骨幹部骨折

テーマ:骨折線と後果骨折の合併

解答はこちらをクリック

正答:a、e

  • a(正):脛骨は前内側の軟部組織被覆が薄く、開放骨折になりやすい部位です。
  • b(誤):横骨折は直達外力による曲げなどで生じやすく、回旋性の介達外力では螺旋骨折が典型です。
  • c(誤):外旋機転の螺旋骨折では、近位骨片の尖部は内側に向く形が典型です。「外側」とする記載は誤りです。
  • d(誤):回旋による螺旋骨折では、腓骨骨折は脛骨と異なる高さに生じることがあります。同レベルとは限りません。
  • e(正):遠位1/3の螺旋骨折は後果骨折を合併しやすく、足関節まで評価します。髄内釘の操作で転位させないためにも術前の把握が重要です。

問85:踵骨骨折

テーマ:脊椎損傷と後方皮膚の危険

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正答:b、d、e

  • a(誤):無腐性壊死が代表的な問題となる距骨骨折と区別します。踵骨骨折では軟部組織障害や距骨下関節症などが重要です。
  • b(正):高所転落などの軸圧で生じるため、脊椎骨折の合併を確認します。
  • c(誤):踵骨体部の圧潰ではBöhler角は一般に減少します。
  • d(正):アキレス腱に引かれた骨片が後方皮膚を圧迫し、壊死の危険があります。皮膚の緊張が強い場合は緊急性があります。
  • e(正):Essex-Lopresti分類の舌状型は、後距骨関節面を含む骨片が踵骨隆起側へ連なる関節内骨折です。

問86:末梢神経損傷

テーマ:損傷の深さと再建法

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正答:e(誤っているもの・該当しないものを選択)

  • a(正):神経の連続性が絶たれた神経断裂では、状態に応じて神経縫合や移植を検討します。
  • b(正):一過性の伝導障害であるneurapraxiaでは、軸索の連続性が保たれ、自然回復が期待できます。
  • c(正):神経外剝離は神経と周囲の瘢痕組織との癒着を剝離する操作です。神経内部の剝離とは区別します。
  • d(正):軸索損傷に加えて神経内の支持組織がどこまで保たれているかで、再生のしやすさや予後が異なります。
  • e(誤):ナーブリッジの国内添付文書では、神経欠損長40 mmを超える場合の有効性・安全性は未確認とされています。「50 mmまで適応」とする本選択肢は誤りです。チューブ自体の長さと欠損長、製品・国ごとの適応範囲を区別します。
    参考:ナーブリッジ国内添付文書

問87:腕神経叢損傷

テーマ:Horner徴候は下位神経根の引き抜きを示唆

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正答:b(誤っているもの・該当しないものを選択)

  • a(正):神経根引き抜き損傷では偽性髄膜瘤を認めることがあります。ただし、髄膜瘤だけで診断を確定するわけではありません。
  • b(誤):Horner徴候は交感神経経路を含む下位神経根の節前損傷を示唆します。節後損傷の特徴とするのが誤りです。
  • c(正):上位型ではC5・C6領域の障害により、肩外転や肘屈曲が障害されます。
  • d(正):下位型ではC8・T1領域の障害により、手指の運動機能が障害されます。
  • e(正):重度の全型麻痺では、機能再建の一つとして遊離機能筋移植を検討します。

問88:拳の突きによる手の損傷

テーマ:ボクサー骨折とボクサーズナックルを区別

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正答:b

  • a(誤):ボクサー骨折は第5中手骨頚部が代表的です。第3中手骨が最多ではありません。
  • b(正):中手骨頭側が掌側へ傾くため、背側凸の角状変形を生じやすい骨折です。
  • c(誤):代表的な整復法ではMP関節を屈曲し、基節骨を介して中手骨頭を押し上げます。MP伸展位での牽引とする記載は誤りです。
  • d(誤):ボクサーズナックルはMP関節背側の矢状索など伸筋腱支持組織の損傷です。側索の損傷とは異なります。
  • e(誤):手根中手こぶは手背側の骨性隆起です。小指屈筋腱断裂との関連で覚えるのは有鉤骨鉤骨折です。

問89:上腕骨小頭離断性骨軟骨炎

テーマ:外側の圧迫ストレスと早期発見

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正答:b(誤っているもの・該当しないものを選択)

  • a(正):成長期の10〜16歳ごろに好発します。肘痛が強くなくても病変が進むことがあります。
  • b(誤):主にコッキング期から加速期の外反負荷に伴う腕橈関節の圧迫が問題です。フォロースルー期を発症機転として挙げる記載が誤りです。
  • c(正):肘45度屈曲位の正面像は、小頭の病変を捉えるために重要です。
  • d(正):病期を透亮期・分離期・遊離期に分けて考えます。早期発見は保存治療の可能性に関わります。
  • e(正):小学生では全力投球を1日50球以内とする予防提言があります。これは医学的な予防の目安で、各大会の最新の投球数規則と同じ意味ではありません。

参考:日本整形外科学会:野球肘

問90:股関節周囲のスポーツ損傷

テーマ:裂離骨折は筋の付着部で覚える

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正答:a、b、e

  • a(正):長距離走の反復負荷では、恥骨や坐骨など骨盤の疲労骨折が起こり得ます。
  • b(正):腸骨翼の裂離は、付着する腹筋群、特に外腹斜筋の強い収縮が関与します。
  • c(誤):下前腸骨棘には大腿直筋が付着します。大腿筋膜張筋の付着部と取り違えないようにします。
  • d(誤):本問は横断型について「若年者に多い」とする記載を誤りとしています。横断型は頚部上外側から亀裂が進んで横断する型で、転位しやすいことが重要です。若年の運動選手にみる圧迫型と分けて整理しましょう。
    参考:大腿骨頚部疲労骨折の3例(骨折型と治療の解説)
  • e(正):本問では上前腸骨棘裂離骨折を最多として選びます。上前腸骨棘には縫工筋などが付着し、成長期の急激な筋収縮で受傷します。

まとめ:間違えた選択肢を「正しい文章」に直す

下肢外傷では合併損傷と軟部組織、神経損傷では障害部位、スポーツ障害では発症機序に注目です。選択肢のどの言葉が正誤を分けているのかを確認しましょう。

正解できた問題も、選ばなかった選択肢の理由を一言で説明できるか確認すると、知識の抜けが見つかります。すきま時間に10問ずつ、繰り返し使っていただければうれしいです。

出典・確認資料

正答の出典:日本整形外科学会「第38回整形外科専門医試験筆答試験問題・正答一覧」(2026年1月16日実施、日本整形外科学会会告2026年4月No.9)。解説は問題冊子の各選択肢に対応した学習用の補足です。

問89の投球制限は、日本整形外科学会の青少年の野球障害に対する提言も参照しています。

整形外科専門医試験 過去問解説シリーズ

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