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【解説あり】2026年(令和8年)整形外科専門医試験 過去問解説(問71〜80)

2026年整形外科専門医試験 過去問解説 問71〜80:外傷の初期対応・上肢 専門医試験

はじめに

こんにちは!今回は、2026年(令和8年)第38回整形外科専門医試験の問71〜80の10問を解説していきます。

自分はちょうど去年の10月、この時期に過去問勉強を始めました。まだ始めていない人もそこそこいる時期でした。焦らず、自分のペースで出来るのはこのタイミングで始めた人たちかもしれません。

さて、今回は外傷の初期対応・上肢が中心です。すきま時間にも取り組みやすいよう、10問ずつ確認していきましょう。

まずはテーマを見て答えを考え、「解答はこちらをクリック」を開いて答え合わせをしましょう。正答だけでなく、a〜eの選択肢をどう考えるかまで整理しています。

問題文・画像はお手元の問題冊子と併せてご確認ください。正答は2026年1月16日実施の正答一覧に照合しています。制度・保険の設問は試験時点の扱いです。

※試験対策を目的とした学習用の解説です。実際の診療や算定では、最新のガイドライン・添付文書・通知をご確認ください。

問71〜80:外傷の初期対応・上肢

問71:母指を伸ばせないときの腱損傷

テーマ:MP関節とIP関節の動きを分けて考える

解答はこちらをクリック

正答:c

  • a(誤):総指伸筋は主に示指〜小指を伸展する腱で、母指IP関節伸展の主役ではありません。
  • b(誤):母指対立筋は対立運動に関わります。IP関節の伸展不能を説明する筋ではありません。
  • c(正):長母指伸筋腱は末節骨に停止し、母指IP関節を伸展します。MP関節の伸展が保たれ、IP関節だけ伸ばせないことが手がかりです。
  • d(誤):短母指伸筋腱は主にMP関節の伸展に働きます。本例ではMP関節の自動伸展が可能です。
  • e(誤):長母指外転筋腱は第1中手骨底に停止し、母指の外転に働きます。

問72:開放骨折の初期治療

テーマ:早期抗菌薬・デブリドマン・軟部組織再建

解答はこちらをクリック

正答:e(誤っているもの・該当しないものを選択)

  • a(正):抗菌薬はできるだけ早く開始します。洗浄や手術の準備が終わるまで投与を待つものではありません。
  • b(正):Gustilo分類は創の長さだけで判断せず、デブリドマン時に軟部組織損傷や汚染を評価して確定します。
  • c(正):高度汚染や組織の生存性が不明な場合は、24〜72時間を目安に再評価・再デブリドマンを計画します。
  • d(正):ⅢBでは軟部組織被覆を要するため、骨折治療と再建を一体で行える施設との連携が重要です。
  • e(誤):陰圧閉鎖療法の被覆材を一律に1週間以上放置するのは不適切です。創の状態と製品の使用方法に応じて交換し、感染評価や確実な被覆を遅らせないようにします。

参考:BOA:開放骨折の診療基準

問73:プレートの機能

テーマ:ラグスクリュー固定を守る中和プレート

解答はこちらをクリック

正答:d

  • a(誤):架橋プレートは粉砕部をまたいで骨の長さ・軸・回旋を保つ使い方です。本問の主な役割とは異なります。
  • b(誤):圧迫プレートはプレートを利用して骨折部に圧迫を加えます。本問では骨片間スクリューによる固定を補強しています。
  • c(誤):支持プレートは骨片の剪断や陥没を防ぐ働きです。関節近傍の骨折でよく用います。
  • d(正):問題冊子の術後像では、骨片間スクリューによる固定をプレートが保護しています。曲げ・ねじりなどの力を分担する保護(中和)プレートです。
  • e(誤):テンションバンドは張力を骨折面の圧迫力に変換する考え方です。本問の固定法とは異なります。

参考:AO Surgery Reference:プレート固定の基本

問74:不安定な多発外傷の骨折治療

テーマ:全身状態に合わせたダメージコントロール

解答はこちらをクリック

正答:d(誤っているもの・該当しないものを選択)

  • a(正):股関節脱臼は早期の整復が必要です。全身の蘇生と並行し、骨折型や整復の安全性を確認して対応します。
  • b(正):不安定型骨盤輪骨折では、骨盤固定具による一時的な安定化が初期対応となります。
  • c(正):創外固定は手術侵襲を抑えて骨折を一時的に安定させる方法です。全身状態が不安定な患者で選択されます。
  • d(誤):全身状態が不安定な段階で大腿骨髄内釘による最終固定を行うことが本問の誤りです。一時固定を行い、蘇生後に最終固定の時期を判断します。
  • e(正):膝を架橋する創外固定は、重度の脛骨プラトー骨折を一時的に安定化し、軟部組織を休ませる方法です。

問75:C7完全損傷のADL目標

テーマ:上腕三頭筋の働きと移乗動作

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正答:d

  • a(誤):電動車椅子のみを移動の目標とするレベルではありません。C7では上肢機能を生かした車椅子操作を目指します。
  • b(誤):手指の巧緻運動は十分ではなく、食事には自助具や環境調整が必要になることがあります。「自助具なし」を標準目標とはしません。
  • c(誤):床からの移乗はベッドと車椅子間の移乗より難しく、C7完全損傷の一般的な到達目標としては高すぎます。
  • d(正):肘伸展機能を利用し、ベッドから車椅子への移乗自立を目指すレベルです。実際の到達度は体格や筋力、環境にも左右されます。
  • e(誤):下肢の随意運動がないため、長下肢装具での日常的な歩行を標準のADL目標とはしません。

問76:頚椎脱臼骨折の初期対応

テーマ:神経所見を追いながら整復し、血管損傷も評価

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正答:b、c

  • a(誤):気道・呼吸の評価は必須ですが、意識清明という情報だけで直ちに気管切開を行うわけではありません。
  • b(正):覚醒下では神経症状を継続して確認しながら非観血的整復を進められます。専門チームが画像と全身状態を確認して行う処置です。
  • c(正):頚椎脱臼骨折では椎骨動脈損傷を合併し得るため、造影CTによる評価が重要です。
  • d(誤):明らかな急性不安定損傷に動態撮影を行うと、神経損傷を悪化させる危険があります。
  • e(誤):麻痺の自然回復を待ってから判断するのではなく、整復・除圧・安定化の必要性を早期に検討します。

問77:高齢者の肩関節脱臼

テーマ:再脱臼よりも腱板損傷を意識

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正答:b

  • a(誤):再脱臼は若年者で問題になりやすく、高齢者の90%に起こるという記載は誤りです。
  • b(正):高齢者では腱板の変性を背景に、脱臼時に腱板断裂を合併することがあります。整復後も挙上困難が続く場合は評価が必要です。
  • c(誤):前方脱臼では烏口下脱臼が代表的です。腋窩脱臼が最多ではありません。
  • d(誤):若年者では関節唇・関節包損傷、高齢者では腱板損傷をより意識します。
  • e(誤):特に確認すべき神経は腋窩神経です。三角筋の収縮と肩外側の知覚を整復前後に評価します。

問78:転位した鎖骨骨幹部骨折

テーマ:筋の牽引方向と手術適応

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正答:c、e

  • a(誤):piano key signは肩鎖関節脱臼でみる所見です。鎖骨骨幹部骨折の代表的な徴候ではありません。
  • b(誤):鎖骨中央1/3は骨折の好発部位で、稀ではありません。
  • c(正):近位骨片は胸鎖乳突筋により上方へ牽引されます。遠位側は上肢の重みなどで下方へ転位します。
  • d(誤):骨幹部骨折の所見から烏口鎖骨靱帯断裂を当然に推定することはできません。肩鎖関節周辺の損傷と区別します。
  • e(正):問題冊子の画像では転位を伴う骨幹部骨折で、手術適応と判断する設問です。実臨床では短縮、皮膚の状態、活動性などを合わせて決めます。

問79:SLAC wrist (Scapholunate Advanced Collapse, )

テーマ:変形性関節症に進行した舟状月状骨間不安定症

解答はこちらをクリック

正答:e(誤っているもの・該当しないものを選択)

  • a(正):舟状月状骨間靱帯損傷を背景に、手根骨配列が崩れて関節症が進む病態です。
  • b(正):舟状骨の掌屈に対し月状骨は背屈し、DISI変形を来します。
  • c(正):関節軟骨の残存状態などの条件を満たせば、近位手根列切除が選択肢になります。
  • d(正):舟状骨切除と部分手関節固定など、病期に応じた救済手術が選択肢になります。
  • e(誤):既に関節症が進んだ手関節では、靱帯修復だけで病態を解決できません。急性の修復可能な靱帯損傷と区別します。

問80:有鉤骨鉤骨折

テーマ:見逃されやすい骨折と腱・神経の合併症

解答はこちらをクリック

正答:d(誤っているもの・該当しないものを選択)

  • a(正):バットやラケット、ゴルフクラブなどのグリップが有鉤骨鉤に当たり受傷します。
  • b(正):骨片との摩擦などで小指屈筋腱の損傷・断裂を来すことがあります。
  • c(正):近傍を走る尺骨神経の損傷や刺激症状を合併し得ます。
  • d(誤):通常の単純X線正面像では描出しにくい骨折です。手根管撮影やCTが診断に役立ちます。
  • e(正):症候性の骨折や偽関節では骨片切除が選択肢になります。骨片の大きさや活動性により治療を判断します。

まとめ:間違えた選択肢を「正しい文章」に直す

外傷では全身状態と局所所見を併せて評価する流れを、上肢では腱・骨・神経の位置関係を確認しましょう。診断名だけでなく、最初に行う対応まで振り返ると知識がつながります。

正解できた問題も、選ばなかった選択肢の理由を一言で説明できるか確認すると、知識の抜けが見つかります。

とはいっても、一度間違えた問題は次解き直しても間違うことは多いです。気負わず、すきま時間に10問ずつ、繰り返し使っていただければうれしいです。

出典・確認資料

正答の出典:日本整形外科学会「第38回整形外科専門医試験筆答試験問題・正答一覧」(2026年1月16日実施、日本整形外科学会会告2026年4月No.9)。解説は問題冊子の各選択肢に対応した学習用の補足です。

整形外科専門医試験 過去問解説シリーズ

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